2007年05月22日
くらら@ゲンバ「働くママの苦悩 産休明け職場復帰で…」
<5月22日(火)放送>
私が最初に訪ねたのは、出産を終え、育児休暇中の女性。

7年間、事務を担当する正社員として勤務。
妊娠がわかり、産休の申請をした所、会社からは、
思いも寄らない答えが返ってきたといいます。
富田さん:
「辞めるか復帰するならパート。
その2択しかないという感じですね。」
彼女は妊娠が理由で、正社員として復帰する道を
閉ざされてしまったのです。
くらら:
「正社員からパートへの変更理由を会社に
尋ねたことはなかったんですか?」
富田さん:
「言えなかったですね。
風当たりが強そうだなと思うし(出る杭は)打たれる気がする。」
これは、彼女の産休前の給与明細です。

パートになると、給料は、ほぼ半分の11万円ほど。
経済的な不安を抱く彼女の元に会社からメールが届きました。
それは、遠まわしに、復帰先の変更を知らせるのでした。
『復帰の段階での、人員がどうなっているかは、
正直、現段階ではわかりかねます。』
パートとしてでさえ、慣れた職場に戻れないかもしれない。
しかも、メールで知らせるような事でしょうか?
富田さん:
「最近髪が抜けて、円形脱毛症になっちゃったんです。」

職場に戻れなければ、夫の給料だけでは生活が苦しい。
その不安が、体を蝕んでいったのです。
しかし、出産後、正社員からパートに変更されるという
「不利益な扱い」は、珍しいことではないようです。
続いて訪ねたのは、コールセンターに勤務していた渋谷さん。

出産を理由に、会社から、
あからさまに退職を迫られたといいます。
産休中の彼女に突然、会社から電話がかかってきました。
渋谷さん:
「産休を切り上げて早く出てきて欲しいと言われたんですが、お断りさせてもらったんです。」
くらら:
「会社の反応は?」
渋谷さん:
「“どの部署に変わっても文句は言うなよ”と言って切られた。会社に行くのが怖かったですね。」
復帰後は、コールセンターから経理へ異動。
増える残業と上司のプレッシャーから、
思うように働けなくなりました。
退職を決断すると・・・
渋谷さん:
「いつ辞めるって言うかと思ってた。
やっとその気になったかといわれた。」
くらら:
「直接ですか?」
渋谷さん:
「はい。笑ってたんですよ。悔しかったですね。」
妊娠・出産を理由に退職する女性はおよそ7割。
でも、彼女のように、望まずに退職を選んだ人も多くいます。
男女雇用機会均等法の改正から2か月。
妊娠・出産を理由とした「不利益扱い」は禁止されましたが、
問題は、本当に改善されたのでしょうか?
東京ユニオンは、個人でも加入できる労働組合です。
法律が改正された後も、多くの相談が寄せられています。
この日は、妊娠中の女性が、深刻な面持ちで相談に訪れていました。
くらら:
「4月1日から(法律)が施行されましたが、
相談件数や内容に変化はありましたか?」

山崎さん:
「件数は変わっていない。おとといも派遣労働組合者から
相談があって、妊娠したことを会社に伝えたら、
会社から辞めてくれと言われたという相談がありました。
法律はつくられているが、企業が守っているかというと、
まだまだそうではないという実態が浮き彫りになっている。」
法律で禁止されても、変わらない現状。
では、何が問題なのでしょうか?
職場で働く人たちに聞いてみました。
【街頭インタビュー】

くらら:
「職場女性の妊娠・出産を歓迎しますか?」
男性会社員:
「歓迎します」
「歓迎する」と多くの人が回答。

しかし・・・
男性経営者(66歳):
「個人的には賛成ですけど、会社的としては難しいな。」
男性会社員(65歳):
「中小企業の場合は補助要因がいない。人に余裕がない。」
男性会社役員(59歳):
「職場では(歓迎しない)ですね。現実的には、なかなかすぐには(意識は)変われない。」
数字には表れない本音。
上司や同僚の間で、「長期間、仕事を休まれては困る」という意識が、根強く残っていました。
職場の意識が変わらない限り、
女性の働く環境はよくならないと専門家は指摘します。

篠塚教授:
「企業が嫌がらせをするのではなく労働者が嫌がらせをする。」
こうした現状が、今、新たな問題を生んでいます。
会社の産休制度が整っていても、
出産にためらいを感じる女性が多いというのです。

濱崎麗さんは、独身です。
ITマネージャーとして会社で着々とキャリアを積み重ねてきました。
管理職として活躍する浜崎さんですが、ITの世界は日進月歩。
職場を長く離れるのが怖いといいます。
くらら:
「出産に関してのお考えをお聞かせ頂けますか?」
濱崎さん:
「出産を望むか望まないかで本当に悩む。
妊娠・出産をする為には何十日も休まないといけない。
想像しただけでどうしようかなと…
それなら妊娠せずに仕事を続けようかなと思う。」
『1度休んだら今の仕事に戻れない』
彼女のように結婚も妊娠も望まない女性が増えています。
25歳から34歳の未婚女性は、ここ25年でおよそ3倍に増え、44.4%。
仕事を続けるか、出産するか。
働く女性はどちらかを選択しなければならないのが現状です。
篠塚教授:
「結婚ができて、子供が産めて仕事が続けられるように、
1度辞めなくても良い制度をつくれるように、
そこにもっと焦点を当てるべきだと思います。」
女性の働く環境を良くするには、法律を変えるだけでなく、
働く人たちの意識を変えるしかない。
課題は残ったままです。