2007年02月12日
くらら@ゲンバ「産婦人科医の実情」
<2月6日(火)放送>
今、産婦人科の医師が不足しているのを
みなさんご存じでしょうか。
出産の出来る病院などが減り続け、
「出産難民」という言葉まで生まれています。
全国で最も出産出来る施設が少ないのは埼玉県。
その中でも人口20万人を越える草加市では、
出産の出来る病院は1か所しかありません。
なぜこんなに産婦人科医が少なくなってしまっているのか、
その現状を知る為、私は、ある診療所を訪れました。
中に入って、まず驚いたのは、人の多さ。
近くに出産できる病院がない為、
自宅から1時間かけて来ている妊婦さんもいるそうです。
院長の待木信和先生。

16年でおよそ1万人の出産に立ち会って来た先生です。
産婦人科医の1日とは、どのようなものなのでしょうか。
先生に密着取材させて頂きました。
午前9時。
先生の1日は、生まれたばかりの赤ちゃんの診察から始まります。

こちらの病院、多い時には、1日に5人の赤ちゃんが生まれるそうです。
ベッドは全部で19床。
しかし、足りなくなってしまう事も多いそうです。
休む間もなく、次に先生が向かったのは手術室。
帝王切開での出産です。

初めて見るお産の現場。
手術開始から30分・・・
元気な女の子が生まれました。
その頃、待合室は診察を待つ人でいっぱい。
多い時には1日・100人の外来患者を
もう1人の医師と手分けして、診察するといいます。
午後1時40分、ようやく昼食の時間。
診察室で簡単に済ませます。
食事の時間はわずか3~4分。
先生がこれほど忙しいのには理由があります。
産婦人科医は年々減り続け、およそ1万人しかいない為、
慢性の人手不足です。
しかも、医師の平均年齢は50.4歳と高齢になっています。
その影響で、ここ2年の間に分娩を取り扱う施設の9.4%が閉鎖。
閉鎖した理由のほとんどが充分に産婦人科の医師を
確保できないからだといことです。
産婦人科医が不足している理由は3つ、
少子化で先がないと考えられていること、
過酷な労働であること、
訴訟のリスクが高いことだと先生はいいます。
普通に生まれて来るのが当たり前と思われがちだですが、
お産には危険が伴います。
こうした医師と妊婦側との認識の違いから、
産婦人科医の訴訟率は最も高く、平均の3.3倍。
年間151件の訴訟が起きているのが実情です。

去年、帝王切開中の医療死亡事故により産婦人科医が逮捕されました。
しかし、予測が困難なケースだったにもかかわらず
医師の責任が問われたため、
多くの産婦人科医達が危機感を募らせています。
診療時間が過ぎても、先生の仕事は終わりません。
入院している妊婦さんのカルテを確認。
夜になっても先生には休む時間がありません。
結局、家路に着いたのは、午後10時過ぎ。
朝9時から、ほとんど休んでいませんでした。
ところが、翌朝の出勤は午前6時50分。
出産が始まるという呼び出しの電話を受けたのです。
お産は24時間、いつ起こるかわかりません。
先生は産婦人科医になってから、365日、
熟睡することができなくなったといいます。
この日もまた、新しい命が生まれました。
元気な女の子です。

わが子が健康に生まれて来る事を願う親。
しかし、それは産婦人科医なくしては叶いません。
医師不足による激務の追われる出産の現場は
これからどのように変わっていくのでしょうか。
